トウガラシはなぜ辛い?――“菌類から実を守る”自己防衛だった

こんにちは、デンネツ広報担当です。
トウガラシの鋭い辛さは、人間の味覚を刺激するだけのものではありません。実の内部に侵入してくる有害な菌類(カビなど)を退けるための“防御装置”として進化してきた可能性が高いことが研究で示されています。
トウガラシに多く含まれる辛味成分「カプサイシノイド」は、実の表面に傷がつきやすい部分ほど濃く分布していることがわかりました。野外調査では、同じ野生種でも地域や環境によって“辛さの強い個体”と“ほとんど辛くない個体”が混在しており、虫の被害が多い場所ほど辛味が強くなる傾向が観察されています。
室内実験では、カプサイシノイドが菌類の増殖や侵入を抑える一方で、虫そのものの攻撃は防げないことも確認されています。
つまり、「虫がかじって開けた小さな穴から、菌類が入り込む」というルートをふさぐために“辛さ”が働いている、という見立てです。
植物にとっては、実を菌類から守りつつ、鳥などに食べてもらって種を運んでもらうのが理想的な戦略です。辛さが“盾”の役割を果たすことで、完熟までの時間を稼ぎ、次世代へ確実にバトンを渡すことができます。
トウガラシの辛さは、実を守るための“戦略”だった――。
私たちが日々味わうその刺激の裏側には、植物のしたたかな生存戦略が隠れています。














