恐竜にも呼吸器の病気があった? 首長恐竜の化石に“感染のあと”

こんにちは、デンネツ広報担当です。
新型コロナで呼吸器の病気が身近になりましたが、太古の生き物も無縁ではなかったようです。北米の博物館系研究チームの調査で、首長の大型草食恐竜ディプロドクスに「気嚢(きのう)」の炎症を示す痕跡が見つかりました。
対象となったのは、約1億5000万年前(ジュラ紀後期)のディプロドクスの化石です。骨の状態から、体内の空気袋「気嚢」周辺に炎症をうかがわせる変化が確認され、首の中を通る気嚢がダメージを受け、肺にも影響が及んでいた可能性が指摘されています。
〈恐竜は“鳥に近い呼吸”をしていた〉
一部の恐竜は、現代の鳥と同じように気嚢を使う効率的な呼吸システムを持っていたと考えられています。換気性能が高い一方で、病原体が入り込みやすい構造でもありました。実際、現代の鳥でも呼吸器感染症は珍しくありません。
〈原因として考えられるもの〉
化石から病原体を特定するのは困難ですが、鳥でよく見られるアスペルギルス症(カビの一種)、黄色ブドウ球菌、マイコプラズマ、クラミジアなどが候補として挙げられています。これらは鳥類だけでなく、爬虫類や哺乳類、そしてヒトでも呼吸器トラブルの原因となる病原体です。
〈恐竜時代にも“病気の風景”〉
別の恐竜化石でも上気道感染を示唆する報告があり、群れの中で感染が広がった可能性を示す研究もあります。今回の報告は、恐竜でも鳥に似た呼吸器感染が起きていたことを裏付ける貴重な証拠といえるでしょう。
数千万年の時を越えても、呼吸器の悩みは生き物共通の“あるある”。化石に残った小さなサインから、当時の暮らしや病気の姿が少しずつ明らかになっています。